ムント結婚(ドイツ語: Muntehe)は、古代ゲルマン民族の結婚形式のひとつ。ムント(Munt)とはドイツ語で家父長権を意味する。

概要

古代ゲルマンでは、結婚は売買の対象であった。花嫁はその父親の所有物であり、結婚により、ムント、つまり花嫁を縛っていた家父長権を花婿側に売り渡す(土地や建物、武器、食料等との交換)。この際に支払われる代償をムントシャッツと言う。

ムントが譲られると、両家の間に婚約が成立する。その後、花婿がムントを貰う儀式を終えた後、証人の前で床入りする。花嫁は純潔を守っていたかどうかが確かめられ、処女であれば夫が妻に朝の贈り物をして、ようやく結婚が成立する。

なお、両家の身分が違う場合は、ムント結婚ではなく和合結婚(フリーデルエーエ、Friedelehe)の形式が採られた。和合結婚の場合、花嫁側の家がムントを手放す必要がなくなる。

フランク王国のカール大帝などは、自身の娘をすべて和合結婚させていた。これはムント結婚の場合、ムントを手放した娘の子にも王位継承権が生まれてしまうため、王位継承権争いを恐れてのことであった。

関連項目

  • 和合結婚
  • カール大帝

参考文献

  • 『惨劇の世界史』- 瑞穂れい子(2006年、河出書房新社、ISBN 9784309650357)

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