ビエーノール(古希: Βιήνωρ, Biēnōr)あるいはビアノール(古希: Βιάνωρ, Bianōr)は、ギリシア神話に登場する人物あるいはケンタウロスである。長音を省略してビエノル、ビアノルとも表記される。主に、
- ケンタウロスの1人
- ピュルノスの子
- マントーの子
- トロイアの戦士
が知られている。以下に説明する。
ケンタウロスの1人
このビエーノールは、ラピテース族の王ペイリトオスとヒッポダメイアの結婚式で、酩酊して暴れたケンタウロスの1人。ビアノールは背丈の高いケンタウロスで、背中に誰も乗せたことはなかった。しかし結婚式の混乱の中でアテーナイ王テーセウスはビアノールの背中に跳び乗って、両脚で肋骨を締め上げ、左手でたてがみをつかむと、背後から棍棒でビアノールのこめかみを打ち砕いた。
ピュルノスの子
このビエーノールは、小アジアのミューシア地方の都市キュージコスの戦士である。ピュルノスの子。アルゴナウタイとの戦いで戦死した。
マントーの子
このビエーノールは、予言者テイレシアースの娘あるいはヘーラクレースの娘マントーと河神ティベリスの子。別名オクノス。母マントーは父親の死後にイタリアに移住し、ビエーノールを生んだ。ビエーノールはマントヴァを創建し、都市の名前を母にちなんで名づけた。
トロイアの戦士
このビエーノールは、トロイア戦争で戦ったトロイアの戦士である。ホメーロスの叙事詩『イーリアス』の3日目の戦いで、アガメムノーンによって部下のオイレウス、プリアモスの2子イーソスとアンティポス、アンティマコスの2子ペイサンドロスとヒッポロコスらとともに討たれた。
脚注
参考文献
- オウィディウス『変身物語(下)』中村善也訳、岩波文庫(1984年)
- ホメロス『イリアス(上)』松平千秋訳、岩波文庫(1992年)




